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アメリカでの会社設立(9)〜Business Qualificationの取得〜

定款をファイングして、銀行口座も作って、さあビジネス開始!というようにいく場合もあれば、いかない場合もあります。

そして、そのようにいかない場合の典型例が、「デラウェア州で会社を作ってシリコンバレーでビジネスをする」という最も多くのStartupに見られるパターンの場合です。

なぜそのようにいかないかというと、シリコンバレーのあるここカリフォルニア州では、デラウェア州で設立された会社は、「Foreign Corporation」(ちなみに、反対の概念はDomestic Corporation)という類型に該当してしまうからです。日本で設立された会社も、もちろんこのForeign Corporationに該当するのですが、なんとアメリカ国内で設立された他州の会社も、カリフォルニア州からすればForeign Corporationに該当してしまう訳です。こうゆうところからしても、アメリカって州ごとに独立国家に近い存在なんだなぁと思います。

で、このようなForeign Corporationの場合、カリフォルニア州から「ここでビジネスやっていいですよ(≒税金払ってくださいね)」というお墨付きをもらわないと州内で「Transact」(intrastate transaction)をしてはいけないことになっています。

で、このIntrastate Transactionってなんやねん?という話なんですが、一応、California Corporation Codeに定義がありまして、それによると「entering into repeated and successive transactions of its business in this state, other than interstate or foreign commerce」(州間又は外国との交易を除く、カリフォルニア州内における会社の反復かつ継続的な取引の実行)というふうに定義されています。

「反復かつ継続」って、なんだか懐かしい響きです。日本で実務をやっていた時、たまにお目にかかった文言ですね。で、日本法同様、「反復かつ継続的な取引」と言われても、正直何のこっちゃまったく分からないのですが、一応、一定の事項はintrastate transactionにはなりませんよという除外規定が用意されています。

それによると、

  1. 単に子会社がカリフォルニア州内で取引をやっているだけでは親会社が州内で取引をやっているとはみなされませんよ

ですとか、

  1. 訴訟や仲裁、和解をしただけでは当てはまりませんよ

  2. 株主総会や取締役会をやっただけでは当てはまりませんよ

  3. 銀行口座を持っているだけでは当てはまりませんよ

  4. 委託業者を通じて売上をたてただけじゃ当てはまりませんよ

  5. メールや従業員等を通じて法的拘束力が生じる前に州外での承諾が必要となる受注の勧誘をしただけでは当てはまりませんよ

  6. 不動産や個人の資産について借金や担保権の証書を作っただけじゃ当てはまりませんよ

とか、しまいにゃ、

  1. 同種の反復の取引の一環として行われていない、180日以内に完結する独立した取引の実行は当てはまりませんよ

とか書いてある訳ですが、、、ま、あんまり参考にはならないですよね。


強いて言えば、最後のやつは、「反復かつ継続的」が何を意味するか裏から表現したような感じがしますので、その限りで参考にはなるのですが。

ということで、結局、ほとんどすべての会社の活動としての取引(雇用、オフィスのリース等を含む)が「反復かつ継続的な取引」にあたってしまいそうですので、本拠地が日本で、カリフォルニアにある知り合いの家に形式上オフィスを構えているだけとか、そういった極めて例外的な状況でない限り、カリフォルニアでビジネスをやる以上、基本的には、カリフォルニア州からBusiness Qualificationを取ってくださいねという結論になると思います。

で、その取り方ですが、単にForm S&DC-S/Nという書式に所定の事項を記載して、カリフォルニア州にファイリングするだけです。費用は$100。ファイリングの方法は、オンライン、郵送、サクラメントオフィスへの持参(!)と、色々ですが、まあオンラインが楽ですね。少々マニアックな話ですが、オンラインの場合、サインしたFormのPDFを送ることになるのですが、Doc Sign等のデジタルサイネージは受け付けてもらえませんので、手書きでサインしたものをスキャンして送る必要があります。

Form S&DC-S/Nはこちら↓

ちなみに、所用日数は、ファイリングから約1週間。結構かかりますね。

↓から、現在処理されているファイリングの受理日が分かります。

デラウェアでは、豊富なラインナップのお急ぎ便サービスがありましたが、カリフォルニアでは原則としてそんなサービスはありません。どうやらサクラメントオフィスに持参すると「Preclearance and Expedited Filing Services」という名の特急サービス(もちろん有料)が受けられるようですが、そこまでするメリットはないですよね。。。ですが、ここまで来た以上、一応、そのサービスのページだけは紹介しておきます(笑)。

Preclearance and Expedited Filing Servicesのページ↓

すいません。ちょっとマニアックなことを書きすぎました。

いままでのことをまとめて言いますと、

カリフォルニアでStartupをやる以上、カリフォルニア州からBusiness Qualificationを取得しましょう。費用は$100。以上!

ということになります。

…これだけでよかったですかね。週末にさしかかったこのタイミングに、お騒がせいたしました。

みなさん、よい週末を!!!

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